いよいよ師走。デパートや商店街には大小さまざまなクリスマスツリーが飾られ、何となく気分もあわ

ただしくなってきた。年々早くなってきているクリスマス商品の販売や飾り付けには興味もなく、足を

止める事もなかったが、さすが12月に入るとちょっと違ってくる。1年のうちで一番夜がはなやかな

のは12月の夜。街じゅうがクリスマスのイルミネーションに輝き、聖歌隊やオルガンによるコンサー

トがあちこちで催され、クリスマスムードを盛り上げてくれる。色々なクリスマスのイルミネーション

を探し求めて歩くのも師走の夜の楽しみ方かも知れない。今年も残り少なくなってきた。

そこで一句。

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(1997.10.末 〜 )

11月ともなれば紅葉を訪ねて東へ西へと忙しくなる。例のごとく京都が好きな私は相変わらず紅葉は

京都ときめこんでいる。京都の中でも好きなコースがあって1つは円山公園から高台寺、三年坂を通

って清水寺へと行くコースである。三年坂など道の途中には竹細工や陶器などの店が並び特に女性の

方々にはお進めのコースで、時間のたつのも忘れてしまうことだろう。そしてもう1つのコースは渡

月橋から始まって、保津川ぞいをそぞろ歩きながら小倉山中腹の展望台にのぼり保津峡を眺めたあと

嵯峨野路へと進むコースだ。特に保津川をはさんでみる嵐山の紅葉の美しさは圧巻である。

そこで一句。

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(1997.09.末 〜 )

10月ともなると秋も本格的になってくる。南北に長い日本列島は春の桜前線は南から北上し、秋の

紅葉前線は北から南下してくる。四季折々の移り変わりを何処の誰でもが楽しむことができる。その

色づき始めた紅葉の便りがそろそろ北の地域から聞こえてくるころが秋の旅行シーズンの始まりでも

ある。年末年始や夏休みの旅行とは違って国内への小旅行が多いとは思うがどうしても家族や友達と

のグループ旅行が中心のようだ。そして飛行機や新幹線、目的の観光地までが人でいっぱいである。

たまにはバスや鈍行列車を使って人知れぬ山奥のひなびた温泉宿への一人旅などはどうだろう。

そこで一句。

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(1997.08.末 〜 )

暑かった夏もすぎて朝夕はめっきり涼しくなってきた。本格的な秋もすぐそこまでやって来ている。

読書の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋。精神的にも肉体的にも一番充実する季節の到来だ。こんな

秋を代表する花といったら皆さんどんな花を連想されるのだろうか?。たぶん菊やコスモスをあげる人

が多いと思われるが山口百恵さんの歌にもある曼珠沙華も秋の花である。田のあぜや墓地など人家に近い

草地に自生するちょっとぶきみな真っ赤な花。又の名は彼岸花。カミソリバナ、トウロウバナ、捨子花とも

言うらしい。有毒植物らしく私の田舎ではへびの花とも言われていたかわいそうな?花である。

そこで一句。

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(1997.07.末 〜 )

1ヶ月も続いた祇園祭の行事が終わった京都。夏暑く冬が寒いのは全国どこでも同じではあるが盆地に

なっている京都はその暑さも寒さも又ひとしおである。そんな暑い京都の8月の行事といえば「京都五

山の送り火」が有名である。8月16日の夜8時に東山の大文字の点火を最初に次々と各山に送り火が

点灯される。精霊を彼岸に送るとともに人々の無病息災を祈って行われるこの行事が終わると京都の夏

も終わって徐々に秋の気配を濃くして行くのである。京都の繁華街から送り火を見る事は年々難しくな

って来ているが大文字を見ることが出来る四条大橋には毎年多くの人々が行く夏を惜しみにやってくる。

そこで一句。

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(1997.06.末 〜 )

いよいよ7月。夏本番である。とはいっても湿気の多い日本の夏は温度の高さ以上に暑さを感じ不快感

も又ひとしおだ。こんな日本の夏を少しでも涼しく感じさせてくれる1つに風鈴がある。最近では冷房

のきいた部屋が多くなったせいか一昔前に比べれば風鈴を吊るす家もめっきり少なくなり寂しいかぎり

である。そんな時たまたま風鈴を吊るしてある家や風鈴を吊るしている場面に出くわすとなぜかなつか

しさと新鮮さを感じるのである。やさしい女性も、筋肉隆々の男性であっても風鈴を吊るす思いは同じ

であり、そしてまたいつまでも変わらぬ風情であって欲しい。これぞ日本の夏。

そこで一句。

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(1997.05.末 〜 )

実家の兄が亡くなった。兄とは10歳の年齢差があり、子供のころ一緒に遊んだ記憶はほとんどない。

たまに田舎へ帰っても「おお来たか」と一言言ってそれっきり。ぐうたらな弟に説教をすることも、

身体への気遣いの言葉もなかったが、兄のそばにいるだけで、ただそれだけで心がなごんだ。

いつまでもそばにいて欲しかった。小さいころから兄弟姉妹の先頭にたち、実家を守り、走り続けた

兄のことを思うと早すぎた死に何もしてやれなかったくやしさに心が痛む。

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(1997.04.末 〜 )

高校生だったころ母がいやがる私を無理やり畑へ連れ出した。子供のころは喜んで母の後を追っかけた

ものだが高校生ともなると母と行動を共にする事はほとんどなかった。そんな私を連れ出した畑は海の

近くの高台にあった。畑の土の匂いと海の潮の香りが春の風にのりながら家に閉じこもりがちだった私

の心を揺らした。自然のすばらしさを毎日目の前にしながらなお気がつかない自然のよさがたくさんあ

るのだ。忘れられない春の日の思い出である。そんな自然との出会いを作ってくれた母も年老いて今は

畑へ行く事もなくなった。若かったころの母の写真を見ていると遠い昔の思い出がよみがえってくる。

そこで一句。

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(1997.03.末 〜 )

春本番。京都の街にも本格的な春がやってきた。春といえば桜。京都にも桜の名所は多い。嵐山の山桜、

嵯峨野の桜とあげればきりがないが、その中でも私がいつも足を運ぶのは八坂神社裏にある円山公園。

四条河原町から四条大橋を渡り、南座の前を通ってしばらく歩くと八坂神社が見えてくる。この八坂神社

前の一帯が有名な祇園である。花見がてらにこの辺りをぶらぶらするのが私の毎年の行事となった。

祇園の一角には明治5年以来100年以上も続いている「都をどり」が開催され、京都の春に花を添えて

くれる。「都をどりはよ〜いやさ〜」の掛声で今日も祇園の舞妓達が華麗な舞いを見せてくれる。

そこで一句。

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(1997.02.末 〜 )

立春を過ぎて降る雪は春の雪である。先日も大阪に春の雪が舞った。そんな雪を見るたびに思い出す

のは遠い田舎の能登である。まだ幼かったころ空から限りなく降りてくる雪を濡れるのもかまわずに

口を開けながら見つめていた。こんなにたくさんの雪はいったいどこから来るのだろう?。降っても

降っても降り続ける雪空に限りない大きさとふしぎさを感じたものである。母に見つかって家に連れ

戻されるまで、いつまでも見つめていた。たまに降る大阪の雪に当時経験した雪と同じ想いを抱く事は

ないが、春の雪のひとひらにもなぜか親しみを感じるのである。

そこで一句。

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(1997.01.末 〜 )

雪国と違って大阪に雪が降るのは年に2、3日でそんな日は子供達はおお喜びだ。前夜からの雪が

積もったある日の朝、隣家の親子が雪だるまを作っていた。手のひらにのる程の小さな雪だるまだ。

母親のやさしい顔とまだ小学校に入る前のちいさな子供のうれしそうな笑顔を見ながら出勤のため

家をでた。その日は前夜からの雪がうそのように、大変良い天気で帰宅した時にはもう雪だるまは

とけて、親指程の消えそうな雪が残っているだけだった。たちどまってその消えそうな雪をみてい

ると今朝の親子の笑顔がよみがえってきた。そしてその消えそうな雪になぜか愛しさを感じた。

そこで一句。

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(1996.12.末 〜 )

能登の冬の空は太平洋側で見る晴れた青い空とは違っていつも黒い雲が空をおおっている。

それも低く今にも落ちてきそうな雲だ。時には狂った動物のように空を走り過ぎて行くこともあるし

雲と一緒にシベリアからの寒気団が肌に突き刺さるような冷たい風雨や雪を連れて来ることも多い。

こんなきびしい冬の日々が能登の人びとの性格を知らぬ間に造りだしているのかも知れない。

久々に帰省する能登の冬の空を見るたびに、帰ってきたという実感と、晴れた日の多い都会生活に

なれてしまっている自分自身のひ弱さを改めて想い知らされる。

そこで一句。

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(1996.11.末 〜 )

今から20年前のころ。当時は東京都内の四畳半一間の安アパートに住んでいた。

東京での生活は物価が高く自分ひとりが寝に帰るだけには四畳半一間の部屋で十分だった。

そんなあるクリスマスイヴの夜。ケーキを買うこともなく、さみしい1人のイヴの夜を冷たい

センベイ布団にもぐりこんで本を読んでいた。するとどこからかコーン、コーンという音が

聞こえてきた。窓側に立って耳をすますとどうやら近くで時々見かける年老いた1人の個人経営

の鉄工所からのようだ。急な仕事が入ったのだろうか。せっかくのイヴの夜なのにと思いながらも

汗をかきながら頑張っているだろう老人になぜか申し訳ない気分でいっぱいになった。

そこで一句。

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(1996.10.末 〜 )

生まれて初めて海外旅行をした。人ごみが嫌いでお盆やゴールデンウィークあるいは

正月の休みに旅行に出かける事はほとんどない。今回はわけあってそんな時期をはず

れて休暇をもらう事ができ海外旅行が実現したのだ。なにせ私にとっては初めての経験。

旅行前の1ヶ月は準備と気疲れで身体がおかしくなる寸前の状態だったのにいざ旅行

に入るといたって元気。小さいころからテレビで見た、本で読んだあこがれの街や建物

の前に立ちながらまた必ず訪ねて来ようそんな思いを残してローマ、パリ、ロンドンの

10日間の旅を終えた。旅の写真は近々「思い出アルバム」で紹介しようと思う。

そこで一句。

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(1996.09.末 〜 )

朝顔を咲かせたいと種類の違う2袋の種をベランダの植木鉢にまいたのが6月ごろ。

やがて芽がでたのが10数個のうちの3個 で、つるが伸びたのは1個だけだった。

大事に水をやり続けたのに8月末になっても花は咲かなかった。役立たずと思いながら

しだいに水をやる回数も減っていった。そんなある日何気なく窓をあけると紫色をした

弱々しい朝顔がこちらの方を向いていた。咲いた!!あきらめていた朝顔が咲いたのだ。

日当たりも悪く水をやる事も少なかったのに必死に花開こうと頑張っていたのだ。

思いきりたっぷり水をあげたがやがて2週間程で花は生涯を閉じた。思いやりの少な

かった自分を見捨てるかのように夏も駆け足で過ぎていった。

そこで一句。

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(1996.08.末 〜 )

朝夕めっきり涼しくなり虫の音も聞こえはじめ、くだもの屋には西瓜に変わって

梨や葡萄が我が物顔で並び始めた。季節に関係なく年中食べれるようになった

くだものも旬に食べるのが一番おいしい。近くのくだもの屋でさっそく梨を買って

食べた。まだ小粒でちょっと高めだったが思った以上にうまかった。

虫の音を聞きながら、梨をかじりながら今、旅の本を読んでいる。遠い初めての

町へ秋を探しに旅に出るのだ。どんな秋が待っているのだろうか?。またこの場で

紹介していこうと思う。

そこで一句。

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(1996.07.末 〜 )

八月のイメージといえば夏休み、花火、盆踊り等が浮かぶが、私の田舎の盆踊りは

実家の近くの小学校の校庭で行われていた。小さな町が賑わうのは夏祭と盆踊りの

時ぐらいだった。盆踊りの参加者にはアイスクリームが配られたのでそのころを

見計らって踊りの輪に加わった。もともと踊りが好きで、宿直だった担任の男の

先生の後ろについて踊ったことを思い出す。先生も踊りが好きだったのだ。高校生

のころはさすがにてれくさくて踊ることはなかったが海辺の突堤に寝転んで流れ

来る盆踊り唄を聞きながら満天の星をながめていた。満天の星空は大阪の空では

見る事はないがたまに見かける花火にはなぜか遠い田舎の事を思い出す。

そこで一句。

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(1996.06.末 〜 )

七月といえば祭の多い月だ。毎日、全国各地のどこかで祭が行われている。

日本3大祭のうち大阪の天神祭、京都の祇園祭も七月だ。東京浅草の三社祭は5月だが。

この3大祭何度も見た事があるがそれぞれの都市のイメージを凝縮しているようで面白い。

天神祭は大阪らしくてきどりがなく庶民的、祇園祭はなんとなく上品、そして三社祭は江戸っ子の

イキのよさが感じられる。私は特に祇園祭が好きで毎年宵々山や宵山に京都まで出かけている。

夕暮れになると駒形提灯に明かりが灯されお祭り気分も最高潮だ。今も目を閉じて耳をすますと

聞こえるはずのない祇園囃子がどこからか聞こえてくるのだ。

そこで一句。

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もう一句おまけに


(1996.05.末 〜 )

六月といえば梅雨の季節。じめじめしていやな季節と思われる方も多いのでは?

でもこの梅雨の季節だからこそ私たちの目を楽しませてくれる花があります。

そう一つは紫陽花でもう一つは花菖蒲です。アジサイ、ハナショウブどちらの花も

あちこちで見ることができ、通勤や通学の途中にふと目を止められる方もまた多いと

思います。 梅雨の花だけに晴れた日より雨が降っている日あるいは雨上がりの日に

近くの菖蒲園等に出かけて見られたらどうでしょうか? 生き生きとした花たちが

あなたをやさしく迎えてくれるはずです。 そして新しい出会いがあります。

そこで一句。

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もう一句おまけに


(1996.04.24 〜 )

趣味はなんですか?と聞かれた時あなたはどんな答えを返されているのでしょうか?

私の場合は俳句と答えています。俳句との出会いは小学生の時で担任の先生が俳句を

趣味にしておられ、時々道徳の時間や放課後の教室で句会が開かれていました。

無記名で投句し先生がよいと思われた句を生徒の前で一句づつ読み上げるのです。

自分の句が読まれた時大きな声で名乗りをあげるのですが最後の句が読み上げられる

までそれはもうわくわくしたものです・・・・。ということで、これからこの場で

私の作った句を紹介していきたいと思います。今回は初めての紹介ということで

大変かわいかった小学生の時の句をまず紹介したいと思います。

そこで一句。

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もう一句おまけに

[そこで一句]